フランス・シャンパーニュの非発泡性ロゼワイン「ロゼ・デ・リセー」とは?
ロゼ・デ・リセーとは?

ロゼ・デ・リセーは、フランス、シャンパーニュ地方で造られるロゼワインのA.O.C.(原産地統制呼称)。シャンパーニュといえば発泡性のスパークリングワインが有名ですが、ロゼ・デ・リセーは静かに熟成された希少なスティルワインです。A.O.C.(原産地統制呼称)、スティルワインに関して詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
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フランスの言い伝えでは、ヴェルサイユ宮殿の建設に携わった、ロゼ・デ・リセー村出身者が多く、その村の出身者は何故か疲れ知らずで、良く働く為、ルイ14世は大いに感銘を受けたそうです。王自ら、彼らの秘訣を尋ねたところ、地元で愛されるロゼ・デ・リセーを献上。それが王宮御用達のワインの1つとなったそうです。
ロゼ・デ・リセーの地理的特徴

ロゼ・デ・リセーは、フランス北東部にあるシャンパーニュ地方の中でも南部のオーブ県リセイ村周辺でしか生産が認められていません。
この地域は、石灰質土壌とチョーク層に覆われ、ブドウ栽培に適した涼しい気候を特徴としています。この土壌はブドウの木に優れた水はけを提供し、チョーク層はブドウの根系を保護します。さらに、シャンパーニュの斜面は日当たりが良く、ブドウが十分な光合成を行うことができます。これらの地理的条件により、ロゼ・デ・リセーは、エレガントで複雑な風味を備えた独特のロゼワインに仕上がります。
ロゼ・デ・リセーの品種と醸造法

ロゼ・デ・リセーに使用するブドウは、ピノ・ノワールのみです。
セラーに運ばれて来たブドウを選別。タンクで発酵させる前に20%程度のブドウを部分的に破砕。通常のシャンパーニュで造られるロゼの製法(ロートリング:赤ワイン用のブドウと白ワイン用ブドウ、もしくはそれぞれをもろみの状態で混ぜて一緒に圧搾、醸造する方法)とは異なり、黒ブドウを使用し、直接圧搾法を行います。
その際、マスト(果醪:ブドウ圧搾後、果汁・果皮・果肉・種子などが混ざった状態)を初日から何度もテイスティングし、タイミングを見極めています。また、液引き(ぶどうを圧搾機にかけて果汁を絞り出す際に、容器の下部から自然と流れ出る液を抜き出すこと)方法も伝統的な手法を用いており、その工程が大変重要になっています。液引きのタイミングが早いと、「ロゼ・デ・リセー」特有の味わいを引き出せず、逆に遅すぎると完全な赤ワインになってしまいます。
圧搾後、フリーランジュース(破砕後プレスを行わず葡萄の重さだけで自然に流れ出す搾汁)と圧搾した果汁をブレンドさせ、アルコール発酵を行います。ボトリング前にオーク樽で数か月熟成させます。
ロゼ・デ・リセーの味わい

味わいの点では、ロゼ・デ・リセーは独自の特徴を備えています。冷涼な地域で育ったブドウは、酸度が高くなるため、ピノ・ノワールも洗練された、シャープな味わいに仕上がります。
フレッシュで生き生きとした果実味が際立ち、ラズベリー、レッドカラント、チェリーのニュアンスが感じられます。口に含むと、エレガントで繊細な酸味が舌を刺激し、バランスのとれた味わいになります。また、柔らかなタンニンがかすかに存在し、軽微な渋みを加えます。これらの要素が調和して、さわやかで洗練された後味を生み出し、食中酒として幅広い料理との相性を示します。
ロゼ・デ・リセーの楽しみ方

「ロゼ・デ・リセー」を存分に楽しむには、その特徴を踏まえた飲み方が不可欠です。まず、冷やして飲むことが鉄則です。10~12度の冷涼な温度帯で、ワインの爽やかな果実味とバランスのとれた酸味が引き立ちます。
また、ロゼワイン全般に言えることですが、合わせる料理との相性も重要です。このワインは、サーモンやマグロなどの繊細な魚料理や、グリルしたチキンなどの軽い肉料理とよく調和します。加えて、食前酒やデザートワインとしても最適です。少し冷やして食前酒として振る舞えば、洗練されたアペリティフとなり、食事中の口直しとしても楽しめます。デザートワインとして楽しむときは、チョコレートやベリー系のデザートとの組み合わせがおすすめです。
人気のおすすめ「ロゼ デ リセー」をご紹介
ジャック ドゥフランス ロゼ デ リセー:スティルワイン
琥珀色にきらめくダークピンクの色合い。ヴァニラのニュアンスをまとった、ブラック・チェリー・ジャム、完熟したプラムの香りと共に甘草の味わいが広がります。仄かなタバコの香りと共に、ペースト状のマルメロ(ばら科の落葉高木)香も感じられ、心地よいアタックの中に、上品で滑らか、重厚なピノ・ノワールの味わいとローズやスミレのニュアンスも感じられます。
ロゼ・デ・リセイ ヴァンサン・ラムルー:スティルワイン
新鮮で凝縮した果実味に繊細さを感じる見事なバランス。イチゴなどの赤い果実のアロマにスパイスのヒントがあり、ふくよかなフルーツフレーバーと穏やかな酸、ミネラリティが徐々に広がっていきます。
ドゥヴォー ロゼ デ リセー:スティルワイン
ルビーのような深いピンク色、果実味とスパイスのバランスがとれた複雑な香りです。口に含むときれのよい小粒のベリーからフィニッシュはリセーの特長であるリコリスの味わいへと変化します。