ワインの補酸とは？酸度調整の目的と規制

ワイン初心者

ワインの用語で『補酸』とはどういう意味ですか？

ブドウの酸度を上げるために、酒石酸などを加えることを補酸といいます。

ワイン研究家

ワイン初心者

補酸を行う目的は何ですか？

ブドウが十分に熟していない場合や、暑い産地で栽培された場合など、酸が低いワインの品質を安定させ、味わいのバランスを整えることが目的です。

ワイン研究家

ワインの補酸とは。

ワインの補酸とは、ブドウが十分に熟成して酸味が不足している場合、ワインの発酵前または発酵中に酒石酸などの酸を加えることで、ワインの酸味を調整する作業のことです。

この方法は、収穫したブドウの熟度が過度に高い場合や、酸性物質の量が十分にない場合に、ワインのクオリティと味わいのバランスを保つために用いられます。通常、この手続きは、温暖な地方でよく行なれています。多数の国で承認されていますが、一部の国では規制が課せられていません。現在、一般的には補助酸の表記義務が貫かれていないため、補助酸が考慮されているワインであるかどうかは、識別することが難しいです。

なぜ補酸をするのか？

・味わいのバランス調整：酸味が不足すると、ワインが平坦で面白みのない味わいになってしまうことがあります。補酸することで、酸味と甘みのバランスを最適化し、より複雑で奥深い味わいを引き出します。
・腐敗防止：酸が少ないワインは、微生物による腐敗が起こりやすくなります。補酸することで、ワインの安定性を高め、長期保存を可能にします。
・地域性との関係：温暖な気候の地域では、ブドウが十分に熟成することで酸味が減ってしまう傾向があります。補酸を行うことで、その地域のブドウの特徴を活かしたワイン造りが可能になります。

使用される酸の種類

・酒石酸：ブドウに自然に含まれる酸で、最も一般的な補酸に使われます。ワインの酸味を自然な形で高め、醸造の安定化にも貢献します。
・リンゴ酸：青リンゴのような爽やかな酸味を持ち、ワインに複雑さを与えます。
・クエン酸：柑橘類に多く含まれる酸で、コストが安いため、低価格帯のワインに使用されることがあります。

補酸のメリットとデメリット

【補酸のメリット】
・味わいの改善：酸味のバランスを調整することで、より美味しく、複雑な味わいのワインを造ることができます。
・品質の安定化：腐敗を防ぎ、ワインの品質を安定させることができます。
・地域性との調和：地域の気候や土壌に合わせたワイン造りが可能になります。

【補酸のデメリット】
・自然なワインとの対立：補酸は、自然なワイン造りの考え方とは対立する側面があります。一部のワイン愛好家からは、人工的な操作であると批判されることもあります。
・表示義務の欠如：多くの国で補酸の表示義務がないため、消費者は自分が飲んでいるワインが補酸されているかどうかを判断することができません。

補酸の規制

世界各国のワイン産地では、ワインの補酸を規制する法律や基準が定められています。その目的は、ワインの品質と消費者の安全を確保することです。具体的な規制内容は、①補酸の種類と量、②タイミング、③表示義務、④原産地呼称に対する規制があります。

◆各国の規制の例
・EU：補酸の種類や量、タイミングなどが厳しく規定されています。また、補酸を行ったワインには、その旨を表示することが義務付けられています。
・アメリカ：州によって規制が異なりますが、一般的には補酸が認められており、表示義務も緩やかです。
・日本：日本では、ワインの製造に関する法律で、補酸に関する規定が定められています。