
ワインの用語「ポンピングオーバー」とは?
ワイン入門者
「ポンピングオーバー」とは、ワイン造りでどういうことを意味するのでしょうか?
ワイン研究家
ポンピングオーバーとは、醗酵中のワインを果帽と液体の2層に分離させて、果皮などから果汁を抽出する作業のことです
ワイン入門者
なぜポンピングオーバーを行うのですか?
ワイン研究家
発酵を促し均一に行い、果帽部分の温度調節と果帽からの成分抽出を行うためです
ポンピングオーバーとは。
ワイン造りの工程「ポンピングオーバー」では、発酵中に発酵槽(タンク)の下からポンプで液体(ワインの果汁)を吸い上げ、槽の上からかけ流します。この作業は、以下のような目的で行われます。
* 果実の皮や種子(果帽)と果汁を攪拌し、発酵を促進して均一に行わせる
* 果帽の温度を調節する
* 果帽から果汁に色素や風味成分を抽出する
ポンピングオーバーの目的
ポンピングオーバーの目的にとって最も重要な効果は、果皮と果汁との接触にあります。果皮には、ワインに風味や香りを付与する色素やタンニンが含まれています。ポンピングオーバーによって、これらの成分が果汁と混ざり合い、複雑で豊かな味わいのワインが生まれます。このプロセスは、特に赤ワインの製造において不可欠で、果皮からの色素を十分に抽出することで、深みのある赤い色と大胆な味わいを生み出します。
ポンピングオーバーのタイミング
ポンピングオーバーのタイミングは、ワインの醸造における重要な決定事項です。ポンピングオーバーの頻度は、ワインのスタイルや醸造所によって異なります。一般的に、赤ワインは白ワインよりも頻繁にポンピングオーバーを行います。
初期発酵段階では、より頻繁にポンピングオーバーを行うことで、マセレーションを強化し、ワインにタンニンと色素を抽出することができます。発酵が進むにつれて、ポンピングオーバーの頻度を減らし、ワインを酸化から保護します。最終的には、醸造家がワインのテクスチャーや風味を調整するために、試行錯誤しながら最適なタイミングを判断します。
ポンピングオーバーの頻度
ポンピングオーバーの頻度は、発酵過程におけるポンピングオーバーの最適な回数やタイミングによって異なります。
赤ワインの場合、一般的には発酵開始から毎日1~2回行われます。発酵がピークに達するにつれて頻度を増やし、マセラシオン(ワインとブドウの果皮との接触時間)を調整します。
白ワインの場合、より繊細な果皮を使用するため、ポンピングオーバーは一般的に少なくなります。1日1~2回、または発酵の後半にのみ行われる場合があります。
ポンピングオーバーの利点
ポンピングオーバーの利点
ポンピングオーバーは、発酵中のワインに多くの利点をもたらします。まず、ワインのタンニンと色素の抽出を促進します。このプロセスにより、ワインに豊かな風味と色合いが加わります。次に、酵母の均等な分散に役立ち、発酵の効率を高めます。さらに、ポンピングオーバーは温度制御にも役立ち、発酵時の温度スパイクを緩和します。最後に、ワインの酸素化を促進し、ワインの複雑さとバランスを向上させます。
ポンピングオーバーの注意点
ポンピングオーバーの注意点
ポンピングオーバーの実施には、いくつかの注意点があります。
まず、ポンピングオーバーは過剰に行ってはいけません。ポンピングオーバーを頻繁に行いすぎると、ワインのタンニンが過剰に抽出されて苦味が強くなったり、逆に香りが飛んでしまったりする可能性があります。適切な頻度は、発酵の状況やワインのタイプによって異なりますが、一般的には数日に1回程度のペースが推奨されています。
また、ポンピングオーバーのタイミングにも注意が必要です。アルコール発酵の初期段階では、ポンピングオーバーを控えめにし、発酵の中盤以降に頻度を増やしていくのが一般的です。そうすることで、ワインに程よいタンニンが抽出され、果実の風味を引き出すことができます。