ワインのマストとは?醸造の鍵を握る秘密を徹底解説
この記事では、ワイン初心者から愛好家までが知りたい「マスト」の定義、役割、味への影響を徹底解説します。マストの秘密を知れば、ワイン選びやテイスティングがもっと楽しくなるはず!さあ、ワインの世界への第一歩を踏み出しましょう。
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マストとは何か?:定義と成分
ワインのマストとは、ブドウを圧搾した後に得られる果汁や果皮、種、果梗(かこう)を含む混合物のことを指します。英語では「must」と呼ばれ、ワイン醸造のスタート地点となる重要な素材です。マストは、ワインの味、香り、色を決定する基盤であり、ブドウの品質や醸造技術が反映される最初のステップといえます。
マストは、単なる「ブドウジュース」とは異なります。果汁だけでなく、果皮や種に含まれるタンニンや色素、香り成分が混ざり合うことで、ワイン特有の複雑な風味が生まれるのです。例えば、赤ワインでは果皮を長く浸漬させることで深い色と渋みが加わりますが、白ワインでは果皮を早めに取り除き、すっきりした味わいを引き出します。
マストに含まれる成分とは

マストには、ワインの品質を左右するさまざまな成分が含まれています。主な成分とその役割を見てみましょう。
・糖分:ブドウの果糖とブドウ糖が発酵を通じてアルコールに変換され、ワインのアルコール度数を決定します。
・酸:リンゴ酸や酒石酸がワインの爽やかさやバランスを保ち、長期熟成の可能性を高めます。
・タンニン:果皮や種に含まれる渋み成分で、赤ワインの構造や熟成力を強化。
・色素(アントシアニン):赤ワインやロゼワインの鮮やかな色を生み出す。
・香り成分:ブドウの品種ごとに異なる香りが、マストを通じてワインに引き継がれる。
これらの成分は、ブドウの品種、産地、収穫時期によって異なり、マストの状態でそのバランスがワインの方向性を決めます。例えば、糖分の多いマストはアルコール度数の高いワインに、酸の強いマストは爽やかなワインになります。
赤ワインと白ワインでのマストの違い

マストの扱い方は、ワインの種類によって大きく異なります。
・赤ワイン:ブドウを潰した後、果皮や種をマストに含めたまま発酵させる(浸漬)。これにより、タンニンや色素が抽出され、濃厚な味わいと深い色が生まれる。
・白ワイン:ブドウを圧搾後、すぐに果皮や種を取り除き、果汁のみを発酵させる。こうして、軽やかでクリアな味わいが特徴のワインに仕上がる。
・ロゼワイン:赤ワインと白ワインの中間。マストを果皮と短時間(数時間~数日)浸漬させ、淡い色と軽いタンニンを引き出す。
このように、マストの処理方法はワインのスタイルを決定する鍵を握っています。
マストがワイン醸造で果たす役割

発酵プロセスの起点:マストはワイン醸造の第一歩であり、発酵の基盤となる素材です。ブドウを収穫し、選別、破砕、圧搾してマストを作った後、酵母を加えて発酵が始まります。酵母はマスト中の糖分をアルコールと二酸化炭素に変換し、ワインの基礎を作り上げます。発酵の成功は、マストの状態に大きく依存します。例えば、
・糖分の濃度:糖分が多すぎると発酵が止まり、甘口ワインになる可能性がある。一方、糖分が少なすぎるとアルコール度数が低くなる。
・酸のバランス:酸が不足するとワインが平坦な味わいに、過剰だと尖った印象に。
・温度管理:マストの発酵温度は香りや味わいに影響を与える。白ワインでは低温(12~18℃)で発酵させ、フルーティーな香りを保つ。一方、赤ワインは高温(25~30℃)で、タンニンや色素をしっかり抽出する。
マストの処理方法とその影響

マストは発酵前にさまざまな処理を経て、ワインのスタイルを整えます。主な処理方法とその影響は以下の通り。
・圧搾:ブドウを優しく圧搾することで、雑味の少ないクリアなマストを得る。過度な圧搾は苦味や渋みを引き出すため避けられる。
・浸漬(マセラシオン):赤ワインでは、果皮をマストに浸しておくことで色やタンニンを抽出。浸漬時間は数日から数週間に及び、ワインの濃さに影響。
・清澄化:白ワインでは、マストに含まれる固形物を沈殿させて取り除く。これにより、澄んだ色とピュアな味わいが生まれる。
・酸化防止:マストが空気に触れると酸化が進み、香りや色が損なわれる。亜硫酸塩(SO2)を少量加えることで、これを防ぐ。
これらの処理は、ワイナリーの技術や哲学によって異なり、同じブドウ品種でも異なるワインが生まれる理由の一つです。
ロゼワインでのマストの特別な役割

ロゼワインは、マストの扱い方が特にユニークです。赤ブドウを使用し、果皮を短時間(数時間~2日程度)浸漬させることで、淡いピンク色と軽いタンニンを引き出します。この「短時間浸漬法」は、マストの管理が非常に重要で、タイミングを誤ると色や味わいが期待と異なるワインになってしまいます。あるいは、「セニエ法」(発酵中のマストの一部を抜き取る)を使うワイナリーもあり、濃厚な赤ワインと繊細なロゼワインを同時に作ることもあります。