フロールとは?ワインを熟成させる産膜酵母の謎
フロールとは何か?

フロールとは?ワインの熟成に不可欠なヴェールのような酵母層のことです。酒精発酵後にワインの表面に浮上し、白い膜を形成する「産膜酵母」と呼ばれる特殊な酵母がワインの表面に集まり、酸素との接触を遮断してワインの酸化を防ぎます。フロールは、シェリーやヴァンジョーヌなどの樽熟成ワインにおいて独特の酸化熟成香が特長で、クルミなどのニュアンスを与えることが知られています。
フロールの特徴と働き

フロールの特徴は、白く膜状にワインの表面を覆い、その厚さはわずか数ミリメートルしかないことです。この膜は、ワインの酸化を防ぐバリアとして機能し、ワインの品質を保ちながら熟成を促します。また、フロールはワインに独特の風味や香りを付与します。
フロールの働きは、ワイン中のアルコールと酸素を消費し、代わりにアセトアルデヒドや乳酸を生成することです。アセトアルデヒドは、ワインに独特の「シェリー香」を与える香気成分です。一方、乳酸は、ワインにまろやかさとコクを与えます。これらの働きにより、フロールはワインに複雑さと深みをもたらし、シェリーや一部の白ワインなどの独特の風味や香りの形成に寄与しています。
フロールがワインに与える影響

フロールはワインに複雑かつ独特のフレーバーを与えます。ヘーゼルナッツやアーモンド、パンやブリオッシュのようなナッツ系の香りを付加し、ワインに深みと複雑性をもたらします。さらに、フロールはバニリンやキャラメルなどの甘い香りをワインに加え、まろやかな風味を生み出します。また、フロールはワインの酸度を下げ、タンニンを柔らかくする働きがあり、全体としてよりバランスのとれた味わいになります。
フロールによるワインの味わい

フロールは、ワインに独特の風味を与えることで知られています。フロール層の下で熟成したワインは、「フロールワイン」と呼ばれ、複雑で豊かな味わいを持ちます。フロールは、ワインにナッツやアーモンドのような香りが加わり、「ヘーゼルナッツ香」と呼ばれる特徴的なアロマを生み出します。さらに、「バタースコッチ」や「トースト」のようなクリーミーでトースト香も加わり、ワインに深みと複雑さをもたらします。
フロールが活躍するワインの種類

フロールが活躍する代表的なワインは、スペインのアンダルシア地方で生産される「シェリー」とフランス・ジュラ地方で生産される「ヴァン・ジョーヌ」です。それぞれのタイプの代表的な銘柄もご紹介しています。
・フィノ (Fino): フローラの保護下で熟成されるため、色は薄く、ナッツや酵母を思わせる香りが特徴です。
・マンザニージャ (Manzanilla): フィノと似たスタイルですが、カディス地方のサンルカル・デ・バリェードで生産されるもの。より海洋性の香りが特徴です。
・アモンティリャード (Amontillado): フィノから酸化熟成に移行したタイプ。ナッツやシェリー特有の香りが複雑に絡み合います。
・ヴァン・ジョーヌ (Vin Jaune):
フランス・ジュラ地方で生産される白ワインです。 熟成中、ワインの表面に「ヴォワール(voile)」と呼ばれる産膜酵母の膜が形成されます。長期熟成によって琥珀色になり、くるみ、ヘーゼルナッツ、アーモンドなどのナッツ香、カレー粉やスパイス香、リンゴや干しブドウのような香りなど、複雑で独特のアロマを持ちます。
ティオ・ペペ(ゴンザレス・ビアス):フィノ
自社畑の、石灰分の含有量の多い真っ白な土壌で育ったパロミノ品種から造られる。世界のレストランで、食前酒の定番として、また魚介類など料理を彩る辛口ワインとして選ばれています。
ミカエラ マンサニージャ(ボデガス・バロン):マンザニージャ
やわらかくバランスの良い味わいで塩味をわずかに感じます。海辺の町サンルーカル・デ・バラメダのボデガで熟成されているので、その気候条件からソルティな風味を生みだします。
ロス・アルコス(エミリオルスタウ):アモンティリャード
アモンティジャードの熟成感もありながら、ドライかつソフトな味わい。樽香や干し葡萄、シェリー特有のへーゼルナッツの香ばしい香りが感じられます。タコやエビのオイル煮などと合わせて。
ヴァン・ジョーヌ レトワール(ドメーヌ フィリップ・ヴァンデル):ヴァン・ジョーヌ
最低6年ウイヤージュせず薄く張った酵母の膜の下で熟成。クルミやローストアーモンド、クミンシード、ナツメグ、バニラ、ハチミツ、ドライフルーツが複雑に絡み合う芳しい香り。旨みあふれるまろやかな味わいには、申し分ない酸と豊かなミネラルが存在感を示す。